腸炎(enterocolitis)
目次
感染性腸炎
原因・病態
細菌・ウイルス感染によって発症する。子どもの下痢の原因となることが多い。
主な症状
- 水様便
- 嘔吐
- 粘血便
- 腹痛
- 少量・頻回の下痢
- テネスムス(しぶり腹・裏急後重):頻回に便意あり、でも出ない状態
治療
- 自然回復を待つ
- 脱水の予防・補液
- 薬物療法(鎮けい剤、制吐剤、止痢薬、抗菌薬など)
腸炎の比較
潰瘍性大腸炎 | クローン病 | 腸結核症 | 虚血性大腸炎 | |
臨床所見 ①年齢 ②発症 ③症状 ④経過 ⑤合併症 | ①若年 ②急性 ③粘血便 ④再燃と寛解 ⑤貧血 関節炎 | ①若年 ②緩徐 ③下痢 ④持続 ⑤貧血 低タンパク血症 | ①なし ②緩徐 ③ときに下痢 ④自然治癒傾向 ⑤なし | ①高齢 ②急激 ③腹痛、下血 ④一過性 ⑤心疾患 |
肉眼所見 ①分布 ②粘膜 ③悪性変化 | ①直腸から連続 ②易出血 ③あり | ①非連続 ②敷石状変化 ③まれ | ①回盲部 ②輪状潰瘍 ③なし | ①下行結腸 ②限局性潰瘍 ③なし |
組織所見 | 粘膜下層まで | 全層性 | 全層性 | |
治療 | 薬物療法 顆粒球除去 大腸全摘術 | 成分栄養両方 手術 | 抗結核薬 手術 | 禁食 輸液 手術 |
潰瘍性大腸炎
原因・病態
原因不明。直腸から口方向に向かって進行。
主な症状
- 粘血便を伴った慢性的な下痢
- 腹痛
- 発熱
- 体重減少
- 全身倦怠感
- 貧血
治療
- 食事療法(低残渣、栄養豊富)
- 輸液療法
- 薬物療法
- 手術
制度
・難病等法
クローン病
原因・病態
原因不明。口から肛門まですべての部位が侵される。病巣は飛び石状病変 skip lesion。炎症は全層性で非乾酪性肉芽種を特徴とする。
主な症状
- 腹痛・下痢
- 栄養障害
- 体重減少
- 貧血
- 低タンパク血症
治療
- 薬物療法
- 食事療法(成分栄養療法)
- 手術
制度
・難病等法
腸結核症
原因・病態
結核菌によって起こる。好発部位は回盲部。
主な症状
- 腹痛
- 下痢
- 便通異常
- 発熱
- 食欲不振
- るい痩(やせ)
治療
- 安静
- 抗結核薬投与
- 手術
虚血性大腸炎
原因・病態
高齢者や心臓疾患・動脈硬化・高血圧症・糖尿病・血管障害などを有する患者に好発する。粘膜面の壊死と潰瘍がみられる。下行結腸から脾湾曲に好発。
主な症状
- 腹痛
- 鮮血便
- 母指圧痕像 thumb printing (急性期):X線検査で腸を親指で押したような像がみられる。
治療
- 保存療法
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