呼吸器−検査−
目次
血液検査
白血球
●好中球:増加にて感染、炎症疑い。非定型肺炎(マイコプラズマ・クラミジア・ウイルスなど)では末梢血の好中球数は増加しない。
●好酸球:増加にてアレルギーの関与が示唆。
●リンパ球:栄養状態や細胞性免疫の指標。
●アレルギー検査:
①抗原特異的ヒスタミン遊離試験;各種抗原に対するアレルギーの有無を評価
②薬物リンパ球刺激試験(DLST);リンパ球を可能性のある原因薬剤とともに培養しリンパ球の反応を評価
③インターフェロン-γ遊離試験(IGRA);単核球を結核菌特異抗原で刺激して結核感染の有無を評価
赤血球・ヘモグロビン
貧血の有無を評価。
慢性呼吸不全による低酸素血症では、多血症になる場合がある。
血漿成分
血液凝固系を評価。抗凝固薬を含んだ採血菅を使用。
肺血栓塞栓症では抗凝固薬を投与し、効果の判定としてプロトロンビン時間、トロンボテストを行う。
血清成分
血清=血漿-凝固因子
●C反応性タンパク(CRP):非特異的な炎症の指標
●アンギオテンシン変換酵素(ACE):サルコイドーシスの診断に有効
●糖タンパク抗原(KL6)、サーファクタントタンパクA(SPA)、サーファクタントタンパクD(SPD):気道上皮細胞から分泌。
喀痰検査
採取時には口腔内の常在菌の混入を避けるため、含嗽してから喀出させる。量が少ない場合は高張食塩水(3%)をネブライザで吸入させて咳嗽を誘発する。
採取量は5mLが目安。検査を行うまでの許容時間は室温で12時間、冷蔵庫で24時間まで。冷蔵は4℃で保存する。
●塗抹鏡検:微生物を染色して顕微鏡下で発見する方法。一般的にはグラム染色が用いられる。
咽頭ぬぐい液・鼻腔ぬぐい液検査
咽頭や鼻腔のぬぐい液を採取し抗原成分を検出する。インフルエンザでおなじみ。
胸水検査
胸腔穿刺を行い胸水を採取する。タンパク質を多く含む滲出性か、そうでない漏出性かを鑑別する。
画像診断
●X線検査:安くて簡単。ただし画質は荒い。
●胸部CT:コンピュータで身体の断面をみれる。
●造影CT検査:造影剤を注入し、血液の流れを撮影。使用する造影剤はヨードを含む。
●肺血管造影:大腿静脈・動脈からカテーテルを挿入し、目的の部位まで送り、造影剤を注入する。
●超音波検査:超音波は空気中では伝わりにくい。
●磁気共鳴画像法(MRI):磁場を利用し、X線は使用しない。病巣を3次元的理解するのに役に立つ。
●陽電子放出断層撮影(PET):陽電子(ポジトロン)を放出する放射性同位元素で標識された薬物を患者に投与しその分布を撮影する。
内視鏡検査
●気管支鏡
①硬性気管支鏡:先端が曲がらない金属の筒。全身麻酔を要する。気管や気管支内の処置に用いる。
②気管支鏡:先が曲がる柔らかいタイプ。表面麻酔のみで行う。
③超音波気管支鏡:気管・気管支周囲腫大したリンパ節を超音波にて描出し、生検針で組織を採取するもの。
生検
生体内から細胞や組織を詐取し調べる。
呼吸機能検査
①換気機能検査:
●スパイロメータという装置で測定。肺活量、1秒量、最大瞬間呼気流速(ピークフロー)を測る。
●肺気量分画;残気量を測定。スパイロメータでは測定できない。
②ガス交換機能検査:
●動脈血ガス分析;動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)、動脈血酸素分圧(PaO2)、酸塩基平衡(pH)、動脈血酸素飽和度(SaO2)を調べる。酸素飽和度はパルスオキシメータという機械で体表からも測定可能。
●一酸化炭素拡散能(DLco);低濃度の一酸化炭素を吸入させ、吸収速度を測定することで拡散能を推定する。
睡眠時呼吸モニタリング
ポリソムノグラフィーという検査にて睡眠時の呼吸状態を観察する。睡眠時無呼吸症候群の診断に使用。
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