本ページはプロモーションが含まれています

ヘンダーソンの理論を使った看護過程の書き方

2020年9月4日

ヘンダーソンの看護過程は大きく3つの視点に分かれており、さらにそれぞれ細かく項目分けされている。それぞれ情報を整理して問題を導く看護過程。何が本人に不足しているのかを明確にするためのツール。

3つの視点

⑴基本的看護の構成要素(14項目)
⑵基本的欲求に影響を及ぼす常在条件(基本情報)
⑶基本的欲求を変容させる病理的状態(病状・状況)

⑴14項目

1.[呼吸]正常に呼吸する
2.[飲食]適切に飲食する
3.[排泄]あらゆる排泄経路から排泄する
4.[姿勢]身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.[睡眠]睡眠と休息をとる
6.[衣類]適切な衣類を選び、着脱する
7.[体温]衣類の調節と環境の調節により、体温を生理的範囲内に維持する
8.[清潔]身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.[安全]環境の様々な危険因子を避け、また他人を障害しないようにする
10.[コミュニケーション]自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
11.[信仰]自分の信仰に従って礼拝する
12.[仕事]達成感をもたらすような仕事をする
13.[娯楽]遊び、あるいは様々な種類のレクリエーションに参加する
14.[学習]”正常”な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

⑵常在条件

1.年齢
2.気質、感情の状態、一過性の気分
①普通
②多幸的で活動過多
③不安、恐怖、動揺、ヒステリー
④ゆううつで活動低下
3.社会的ないし文化的状態:家族、友人、社会的地位、経済状況
4.身体的能力、知的能力:体重、知力、聴覚、視覚、平衡感覚、運動能力

⑶病状・状況

1.飢餓状態、致命的嘔吐、下痢を含む水および電解質の一時類しい平衡障害
2.急性酸素欠乏状態
3.ショック(”虚脱”と失血を含む)
4.意識障害ー気絶、昏睡、せん妄
5.異常な体温をもたらすような温熱環境にさらされる
6.急性発熱状態
7.局所的外傷、創傷、感染
8.伝染性疾患状態
9.手術前状態
10.手術後状態
11.疾病による、あるいは治療上指示された動けない状態
12.持続性ないし難治性の疼痛

14項目の基本的ニードにおけるアセスメントの視点および情報収集項目

1呼吸

①正常なガス交換が行われているか
(呼吸器疾患の既往歴、呼吸数、リズム、呼吸音、分泌物、爪の色、口唇、Spo2、胸部X線、息切れ、日中の眠気)

②呼吸に対する異常感、精神的ストレスがないか

③安楽な呼吸を促進する方法
(体位、呼吸法、加湿、酸素吸入、吸引)

④心地よい空気環境
(室温、湿度、刺激性物質の有無)

2飲食

①食事摂取量
(食事時間、回数、摂取量、身長、体重、BMI、血液検査データ(TP、ALB、Hb、Ht、TC、TG、LDLc、HDLc、血糖値、HbA1c)、尿タンパク、基礎代謝量、活動量、必要エネルギー量、水分摂取、消化器疾患の既往歴、手術歴、がん、創傷の有無、甲状腺疾患の有無)

②食事に対する満足感
(食欲、嗜好、タブー、食習慣の変化、食事療法の捉え方)

③食行動の自立度
(摂食行動、買い物、調理)

④食事摂取量に影響を及ぼす因子
(咀嚼・嚥下機能障害、口腔内の状況、ストレス、悪心、嘔吐、薬剤の影響)

3排泄

①正常な排泄
(排尿・排便の回数・量・排泄物の性状、水分出納、腸蠕動、腹部緊満、発汗、月経、ドレーン類)

②排泄に対する思い
(緊張、羞恥心)

③排泄行動の自立度
(排泄の自覚、場所の移動、衣服の着脱、後始末)

④排泄習慣の変化、排泄習慣形成の必要性

⑤排泄に影響を与える因子
(ストレス、うつ、環境の変化、透析、ストーマ、下痢・便秘、検査値)

4姿勢

①良い姿勢を保持できているか
(運動器疾患、姿勢・体位、バランス、褥瘡などの廃用症候群の有無)

②自立度
(健康障害による影響、リハビリテーションの内容、捉え方)

③良い姿勢、体位、体位変換に関する知識の程度

5睡眠

①十分な睡眠、休息が取れているか
(睡眠時間、就寝・起床時間、寝つき、昼間の眠気、睡眠習慣の変化、睡眠障害の有無)

②熟眠感

③安眠・安楽を妨げる因子
(痛み、苦痛、不安、緊張、空腹、孤独、環境の変化、運動とのバランス、照明、音、臭い)

6衣類

①適切な衣類を選び、身につけているか
(身だしなみ、嗜好、季節に合わせた服装、障害に応じた服装)

②衣類に関する満足度

③衣類の着脱の自立度
(ボタン、ファスナー、洗濯)

7体温

①体温が正常の範囲内か
(体温、呼吸数、脈拍数、血圧、発汗、食欲、水分出納、脱水、循環器疾患、手術)

②体温の変化に対する受け止め方、不快感の程度

③体温に影響を及ぼす因子
(環境、発達段階、年齢、甲状腺疾患、季節)

8清潔

①身体の清潔を保てているか
(入浴、洗髪、整髪、口腔ケア、爪、鼻、耳、陰部の状態、清潔習慣)

②清潔に対する受け止め方
(清潔感覚、不快感)

③清潔行動の自立度

④清潔保持の必要性が高まる因子
(易感染状態、皮膚の状態)

9安全

①危険回避に関する知識があるか、行動がとれるか

②環境に危険なものはないか、転倒・転落の危険性はないか

③感染の危険性

④精神症状や自殺の恐れはないか、他者に危害を及ぼす危険はないか

10コミュニケーション

①情動の変化を表す心臓の鼓動や促迫したコキュなどの徴候

②コミュニケーションに障害はないか

③重要他者やサポートシステムとの関係の変化

④看護師に自分の欲求、関心、希望などを表出しているか

11信仰

①信仰、倫理的な考え方、道徳上の価値観、人生の意味の探求

②自己に対する期待、将来への希望

12仕事

①社会的な役割や家庭内での役割

②病気による役割の変化

③1日の過ごし方の変化、達成感のある活動をする機会、仕事と余暇のバランス

④経済状況

13娯楽

①遊び、レクリエーション

②気分転換

③生きがい

④遊びや余暇を楽しむことができているか

14学習

①知識の程度

②理解度

③学習意欲

④看護計画への参加度


看護

Posted by tobi