内部告発は正義か裏切りか?“動機”が評価を左右する心理学的真実とは

目次
✅【この記事でわかること】
- なぜ内部告発は「ヒーロー」にも「裏切り者」にもなるのか
- 告発者の“動機”が世間の評価をどう変えるのか
- 看護師のリアルな体験談から学ぶ、動機の伝え方のコツ
職場の不正に悩んだこと、ありませんか?
「これは見過ごせない…でも言ったら浮くかも」
「正しいことをしたはずなのに、なぜか孤立した」
そんな葛藤を経験した方は少なくないはず。
今回は、内部告発の評価がなぜ分かれるのかを心理学の視点から読み解いていきます。
内部告発はなぜ賛否が分かれる?カギは“動機”
「エドワード・スノーデンは英雄か、裏切り者か?」
社会は同じ行動をした人に対し、真逆の評価を下すことがあります。
そのカギとなるのが、“動機(モチベーション)”。
最新の心理学研究(Brotzellerら, 2025)によれば、人は告発者の「行動」だけでなく、「なぜやったのか」を深く気にしているのです。
告発者の“動機”と世間の評価
動機タイプ | 例 | 世間の評価傾向 |
---|---|---|
利他的 | 「誰かを守りたい」 | ポジティブ(ヒーロー) |
道義的 | 「正しいから」 | ポジティブ(ヒーロー) |
競争的 | 「仕返ししたい」 | ネガティブ |
個人的 | 「自分の得のため」 | ネガティブ |
「患者さんのために意見したら、“勇気あるね”と言われたことも、“空気読めない”と陰口を言われたことも…」
動機がどう見えるか次第で、「勇者」にも「トラブルメーカー」にもなってしまう。
医療現場に限らず、どんな職場でも起こりうる話です。
実証!同じ行動でも“動機”で評価が変わる
心理学の実験(調査対象:1,000人以上)では、告発のタイプ別に“動機の推測”と“道徳的評価”がどう変わるかが測定されました。
報告先 | 利他的評価 | 競争的評価 | 個人的評価 | 道義的評価 |
---|---|---|---|---|
内部 | 高い | 低い | 低い | 高い |
外部 | やや高い | やや高い | 中程度 | 高い |
公開(SNSなど) | 低い | 高い | 高い | やや高い |
ポイント:“誰に報告したか”も動機の見え方に影響
今すぐ使える!動機を伝える3つのコツ
✅ やるべきこと
- 行動の背景を「誰のためか」「なぜか」で説明する
- 「利益のためではない」ことを言葉で示す
- 伝え方の本などでコミュニケーション力を磨く
❌ やってはいけないこと
- 「分かってくれるはず」と説明を省く
- SNSなどで動機を語らずに暴露だけする
“なぜやったか”を伝えることが評価を変える
- 内部告発は、“動機”によってヒーローにも裏切り者にもなりうる
- 利他的・道義的な動機はポジティブ評価を得やすい
- 正しい行動をしたときは、“なぜやったか”を必ず伝えること
職場の正義、人間関係に悩んだことがあるあなたへ。
“動機の魔法”を味方につければ、あなたの声はもっと伝わるようになります。
正しいことをする勇気と、それを伝える言葉を持ちましょう。
参考文献
- Brotzeller, F., van Houwelingen, G., Gollwitzer, M., & Fischer, M. (2025). Motive Attributions Shape Judgments of Whistleblowers’ Moral Characters. Personality and Social Psychology Bulletin, 1-16.
- https://journals.sagepub.com/doi/epub/10.1177/01461672251340111
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