赤ちゃんの「怖がり」は脳が関係している?──注意ネットワークと気質の話

目次
【こんなときありませんか?】怖がりなわが子を見て心配になる時
「この子、ちょっとの音でもびくっとしちゃう…」
「初めての人を見ると気になってしゃべれない…」
などなど、子どもの性格や反応に「怖がりさ」を感じたことはありませんか?
私も保健室やカウンセリングで、こわごりさを持つ子どもたちとよく出会いました。
そんな「怖がり」な性格の背景に、子どもの能動発達、とりわけ「脇くの注意ネットワーク」が混ざっていること。最近の研究でそれが明らかになってきました。
「怖がり」の背景には、脇の注意ネットワークが関係
新生児からの脇の発達を追った研究により、 「脇の注意ネットワークの変化と『怖がり』な性格」はつながっている」ことが明らかになりました。 特にDAN(背側注意ネットワーク)とFPN(前頭・頭頂ネットワーク)の連携が高いままの子は、より怖がりを持ちやすく、 その性格が常に続くパターンも見られました。
脇の中で起きていること
子どもの脇内には、不安や怖いを描き起こすとされる「注意ネットワーク」が存在します。 例えば…
- 【DAN】:外の刺激に気づき、そっちに注意を向ける
- 【FPN】:想考を経由して、注意を管理する
- 【SN】:危険な刺激を検知するセンサー
- 【DMN】:なにもしていない時に活性化する、内面の思考
これらが発達しながら、各自の役割を持つようになり、バランスよく動いていくことで、注意を自分で持ちながら、こわい気持ちも振り返しやすくなるわけです。
しかし、DANとFPNがびたっとつながったままの子は、つねに世界を「危険」ととらえやすく、ずっと走っている「警戒モード」になりがちなのです。
【今日からできること】怖がりな子に対して容赦と安心を
私が現場で会った子ども達も、ただけなしい環境の中で、広い世界をちょっとずつ描き始めました。
- 初めての場所:「一緒に探検しようね」と声をかける
- 大きな音:耳をおさえるポーズなどを用意
- ドキドキシーン:「この前もできたよね」と成功体験を振り返る
大事なのは、「怖がり」を否定しないこと。それは優しさや敏感さの表れでもあります。
怖がりな性格を「サイン」として理解する
- 怖がりな子は、脇の注意ネットワークがいつも充分にはたらいている
- DAN-FPNの連携が高いままの子は、こわごりの感情が残りやすい
- 「怖がり」は、警戒心がつよく優しさも持っている「センサー」の表れ
- 容赦的な関りがあることで、自分のペースで成長できる
怖がりな子ほど、心やさしく感受性もあります。大切なことは、ひとりひとりのリズムを尊重すること。
関連資料
- Filippi CA et al. (2025). Longitudinal changes in infant attention-related brain networks and fearful temperament. Biological Psychiatry
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