【看護師が解説】患者・家族のクレーム対応で疲れたときの心のケア術
目次
あなたもこんな経験ありませんか？
「また今日もクレーム対応で心がボロボロ…」
「一生懸命やってるのに、なんで分かってもらえないの？」
「帰宅後も患者さんの怒った顔が頭から離れない…」
あなたは一人じゃありません。
私も看護師として働く中で、数え切れないほどのクレーム対応を経験してきました。特に忘れられないのは、新人時代に認知症の患者さんのご家族から「なぜうちの母だけこんな扱いなのか！」と詰め寄られた時のこと。
その時の私は、何も言い返すことができず、ただただ謝ることしかできませんでした。家に帰っても眠れず、「私は看護師に向いていないのかも…」と自分を責め続けた夜を今でも覚えています。
でも今なら分かります。あの辛さには、ちゃんと脳科学的な理由があったということを。
💡 この記事で分かること
✅ なぜクレーム対応がこんなに疲れるのか？（脳科学の視点から）
✅ 今すぐできる！心を守る3つの具体的方法
✅ HSP気質の人が知っておきたい対処法
✅ 看護師・介護士・保育士必見の実践テクニック
🧠 なぜクレームを受けると、こんなに心が疲れるの？
まずは脳の仕組みを知ろう
患者さんや家族からクレームを受けた瞬間、あなたの脳では一体何が起こっているのでしょうか？
🚨 扁桃体（へんとうたい）= 脳の中の「緊急警報装置」
クレームを受けた瞬間、脳の奥にある扁桃体という部分が「危険だ！」と判断します。これはちょうど、家の防犯ブザーが鳴り響いているような状態です。
この時、ストレスホルモン「コルチゾール」が大量に分泌され、心拍数が上がり、呼吸が浅くなります。まさに「戦闘モード」に入ってしまうんです。
🧠 前頭前野 = 脳の中の「冷静な判断役」
一方で、理性的に物事を考える前頭前野の働きが弱くなってしまいます。だから「なんて返事をすればいいの？」「頭が真っ白になった…」という状態になるんですね。
私の失敗談：新人時代のトラウマ体験
新人の頃、夜勤中に患者さんが転倒してしまったことがありました。幸い怪我はなかったのですが、後日ご家族が激怒されて…
「なんで見てなかったの！」「これで骨折でもしてたらどうするつもりだった！」
その時の私の頭の中は完全にパニック状態。言い訳をするわけにもいかず、ただひたすら謝るばかり。あの時の心臓のバクバクした感じと、胃がキュッと縮むような感覚は今でも思い出せます。
でも今思えば、これは脳の正常な反応だったんです。
🏥 医療・福祉現場で働く人が特に疲れる理由
① 責任の重さが違う
「人の命に関わっている」
「この子の将来を預かっている」
「家族の大切な人をお世話している」
一般的なサービス業と違って、私たちは「人の人生そのもの」に関わっています。だからクレームを受けた時の心理的ダメージも何倍にもなってしまうんです。
② 感情労働の重さ
心理学用語で「感情労働」という言葉があります。これは、自分の本当の感情を押し殺して、相手が求める感情を演じる労働のこと。
例えば…
- 理不尽なことを言われても笑顔を保つ
- 内心イライラしていても優しく対応する
- 疲れていても元気に振る舞う
この感情労働が続くと、心がどんどん疲弊していくんです。
③ HSP気質の人はさらに敏感
HSP（Highly Sensitive Person）の方の場合、相手の感情をスポンジのように吸収してしまいます。
私自身もHSP気質があるので、患者さんの不安や家族の怒りを、まるで自分の感情のように感じてしまうことがありました。クレーム対応後は、相手以上に自分が疲れてしまうことも…
でも大丈夫！これは決して「弱さ」じゃありません。
🛡️ 今日からできる！心を守る3つの方法
1️⃣ 【6秒ルール】感情の嵐をやり過ごす
✨ 方法：クレームを受けた瞬間、心の中で6秒数える
「1...2...3...4...5...6...」なぜ6秒かというと、感情が爆発するまでの時間は平均6秒と言われているから。この間に深呼吸をすることで、扁桃体の興奮を抑えることができます。
実践例： 「少しお時間をいただけますでしょうか？」 と言いながら、心の中で6秒数える。この一呼吸で、ずいぶん冷静になれますよ。
2️⃣ 【感情のラベリング】気持ちに名前をつける
✨ 方法：今の感情を言葉にして客観視する
クレーム対応後、こんな風に自分の気持ちを言葉にしてみてください：
📝 感情ラベリングの例
- 「今、私は悔しさを感じている」
- 「責められているように感じて不安になっている」
- 「理解してもらえなくて悲しい気持ちになっている」
感情を言葉にすることで前頭前野が活性化し、感情に飲み込まれにくくなります。
3️⃣ 【3行日記】寝る前5分の心のメンテナンス
✨ 方法：その日のクレーム対応を振り返って3行で書く
ただし、ポイントは「反省」ではなく「学び」の視点で書くこと！
📝 3行日記の書き方例
今日の出来事：○○さんのご家族からお叱りを受けた
学んだこと：説明の順序を変えればもっと伝わりやすかったかも
次への活かし方：次は図を使って説明してみよう🌟 HSP気質の人へ：特別な心のケア方法
感情のバウンダリー（境界線）を作ろう
HSP気質の方は、相手の感情を自分の感情のように感じてしまいがち。そんな時は「これは相手の感情であって、私の感情ではない」と心の中で唱えてみてください。
私の実践方法： クレーム対応中は、心の中で透明な壁をイメージします。相手の怒りや不満は、その壁に跳ね返されて私の心には入ってこない…そんなイメージを持つことで、感情的な影響を最小限に抑えられます。
エネルギーの回復タイムを作る
クレーム対応後は、必ず一人になれる時間を作りましょう。
🔋 エネルギー回復法
- トイレで深呼吸（30秒でもOK）
- 好きな音楽を聴く
- 温かい飲み物を飲む
- 窓の外の景色を眺める
💪 看護師が実践している！職場でできるストレス対処法
同僚との「愚痴タイム」を有効活用
一人で抱え込まないことが大切。信頼できる同僚と「今日はこんなことがあってさ…」と話すだけでも、心がずいぶん軽くなります。
ただし、愚痴で終わらせるのではなく「次はどうしようか？」という建設的な話し合いに発展させるのがポイント。
「切り替えスイッチ」を作る
仕事とプライベートの境界線を明確にするため、自分なりの「切り替えスイッチ」を作りましょう。
私の切り替えスイッチ：
- 更衣室で制服を脱ぐ時に「今日もお疲れさま」と心の中で言う
- 病院を出る時に大きく深呼吸する
- 家に着いたら手を洗いながら「今日の出来事は流した」と思う
🎯 まとめ：あなたは十分頑張っています
📋 今日のポイント
✅ クレーム対応の疲れは脳の正常な反応
✅ 6秒ルール・感情ラベリング・3行日記で心を守れる
✅ HSP気質の人は境界線を意識することが大切
✅ 一人で抱え込まず、同僚や周りの人を頼っても良い
🌈 最後に伝えたいこと
あなたは毎日、誰かの大切な人のために一生懸命働いています。
クレームを受けることがあっても、それはあなたの価値を下げるものではありません。患者さんやご家族も、不安や心配から感情的になってしまっているだけかもしれません。
そして何より大切なのは、まず自分自身を大切にすること。
あなたが心身ともに健康でいてくれるからこそ、患者さんやご家族、利用者さんたちも安心して過ごすことができるのです。
今日紹介した方法を一つでも試してみて、少しでも心が軽くなることを心から願っています。
あなたの笑顔と優しさを待っている人たちがいることを、どうか忘れないでくださいね。 ✨