胃がん(gastric cancer)
目次
原因・病態
発生原因は不明。前癌病変としては胃潰瘍・胃腺腫性ポリープ・慢性胃炎・悪性貧血などがあげられる。ヘリコバクター-ピロリも関与しているとの報告あり。
好発部位は前庭部・胃角部、次いで胃体部。
組織型はほとんどが腺がん。
分類
胃がんの肉眼型分類(基本分類)
0型 (表在型) | 病変の肉眼形態が軽度な隆起や陥凹を示すに過ぎない もの。 |
1型 (腫瘤形成型) | 隆起性でかつ限局性であり、周囲粘膜との境界が明瞭な もの。他の型より予後良好。 |
2型 (潰瘍限局性) | 潰瘍を形成し、潰瘍の周囲辺縁が隆起して周堤を形成。 周囲の正常な粘膜との境界は明瞭。 |
3型 (潰瘍浸潤型) | 潰瘍を形成し、潰瘍の周囲辺縁が隆起して周堤を形成。 一部が浸潤傾向を示し周囲粘膜との境界不明瞭。 |
4型 (びまん浸潤型) | びまん性に浸潤する型。明らかな潰瘍形成も周堤もなく胃壁は硬化し、進行すると萎縮する。 |
5型 (分類不能) | 上記0〜4型までのいずれの型にも属さないもの。 |
※0型が早期がん、1〜4型が進行がん。1〜4型はボールマンによる分類が有名。
0型(表在型)の亜分類
進行度(ステージ分類)
進展形式
①水平方向および垂直方向への浸潤
・粘膜→胃壁内(水平)
・粘膜→粘膜下層→固有筋層→漿膜下層→漿膜(垂直)
②腹膜播種
漿膜を超えて腹腔内にがん細胞が散布され腹膜に生着した状態。
●ダグラス窩へ及ぶ:シュニッツラー転移(Schnitzler転移)
③リンパ行性転移
がん細胞がリンパ管に侵入し広がっていく。
●左鎖骨上リンパ節へ転移:ウィルヒョウ転移(Virchow転移)
④血行性転移
・胃周囲の静脈→門脈→肝転移
・胃周囲の血管→全身の血液中→肺・骨・脳・腎臓・皮膚
転移性の卵巣腫瘍:クルッケンベルク腫瘍(Krukenberg腫瘍)
主な症状
早期胃がんでは半数が無症状。
- 心窩部痛
- 腹部膨満感
- 胸焼け
- 吐き気
- 嘔吐
- 食欲不振
- 背部痛
- 体重減少
- 貧血
- 下血
治療
内視鏡的治療
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
腹腔鏡下手術
- 全層局所切除
- リンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術
開腹手術
①幽門側胃切除術:(吻合はビルロートⅠ法・Ⅱ法、またはルーY法)
②噴門側胃切除術
③胃全摘術:(吻合はルーY法、空腸間置術)
④姑息手術・バイパス術
内科的治療
- 化学療法
手術による合併症
早期合併症
①術後出血
②縫合不全
③通過障害
④イレウス
⑤急性胆嚢炎
晩期合併症
①ダンピング症状
②貧血
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