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胃がん(gastric cancer)

原因・病態

発生原因は不明。前癌病変としては胃潰瘍・胃腺腫性ポリープ・慢性胃炎・悪性貧血などがあげられる。ヘリコバクター-ピロリも関与しているとの報告あり。

好発部位は前庭部・胃角部、次いで胃体部。

組織型はほとんどが腺がん。

分類

胃がんの肉眼型分類(基本分類)

0型
(表在型)
病変の肉眼形態が軽度な隆起や陥凹を示すに過ぎない
もの。
1型
(腫瘤形成型)
隆起性でかつ限局性であり、周囲粘膜との境界が明瞭な
もの。他の型より予後良好。
2型
(潰瘍限局性)
潰瘍を形成し、潰瘍の周囲辺縁が隆起して周堤を形成。
周囲の正常な粘膜との境界は明瞭。
3型
(潰瘍浸潤型)
潰瘍を形成し、潰瘍の周囲辺縁が隆起して周堤を形成。
一部が浸潤傾向を示し周囲粘膜との境界不明瞭。
4型
(びまん浸潤型)
びまん性に浸潤する型。明らかな潰瘍形成も周堤もなく胃壁は硬化し、進行すると萎縮する。
5型
(分類不能)         
上記0〜4型までのいずれの型にも属さないもの。

※0型が早期がん、1〜4型が進行がん。1〜4型はボールマンによる分類が有名。

「がんのきほん」より引用
https://www.gan-info.com/305.2.html

0型(表在型)の亜分類

「がんのきほん」より引用
https://www.gan-info.com/305.2.html

進行度(ステージ分類)

「京都大学医学部付属病院 消化管外科」より引用
https://gisurg.kuhp.kyoto-u.ac.jp/clinic-contents/胃がんの解説/166

進展形式

①水平方向および垂直方向への浸潤
・粘膜→胃壁内(水平)
・粘膜→粘膜下層→固有筋層→漿膜下層→漿膜(垂直)

②腹膜播種
漿膜を超えて腹腔内にがん細胞が散布され腹膜に生着した状態。
●ダグラス窩へ及ぶ:シュニッツラー転移(Schnitzler転移)

③リンパ行性転移
がん細胞がリンパ管に侵入し広がっていく。
●左鎖骨上リンパ節へ転移:ウィルヒョウ転移(Virchow転移)

④血行性転移
・胃周囲の静脈→門脈→肝転移
・胃周囲の血管→全身の血液中→肺・骨・脳・腎臓・皮膚

転移性の卵巣腫瘍:クルッケンベルク腫瘍(Krukenberg腫瘍)

主な症状

早期胃がんでは半数が無症状。

  • 心窩部痛
  • 腹部膨満感
  • 胸焼け
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 背部痛
  • 体重減少
  • 貧血
  • 下血

治療

内視鏡的治療

  • 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
  • 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

腹腔鏡下手術

  • 全層局所切除
  • リンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術

開腹手術

①幽門側胃切除術:(吻合はビルロートⅠ法・Ⅱ法、またはルーY法)
②噴門側胃切除術
③胃全摘術:(吻合はルーY法、空腸間置術)
④姑息手術・バイパス術

内科的治療

  • 化学療法

手術による合併症

早期合併症

①術後出血
②縫合不全
③通過障害
④イレウス
⑤急性胆嚢炎

晩期合併症

①ダンピング症状
②貧血